札幌市中央区にございます当税理士事務所は、相続税申告を専門とする税理士事務所です。相続税の処理が分からない、相続税を得意とする税理士に依頼したい、相続税専門の税理士にまずは相談したい、という方はお気軽にご相談ください。札幌の相続税専門税理士があなたの力になります。
相続時精算課税制度にかかる令和5年度税制改正
相続時精算課税は、令和5年の税制改正で大きく変わりました。相続時精算課税の適用を受けている者が、特定贈与者から令和6年1月1日以降に受けた贈与については基礎控除(110万円)が適用され、基礎控除以下の贈与額であれば贈与税の申告が不要になったのでした。
令和5年12月31日までであれば、相続時精算課税の適用を受けた者が特定贈与者から贈与を受けた場合は、たとえ1円であっても「基礎控除」はなく、贈与税の申告をする必要がありました。
2年目以降の贈与税の申告をしていないケース
札幌で相続税の相談に応じていると、次のようなケースがありました。
令和8年11月に札幌市西区のAさんが死亡し、相続人はAさんの子で、札幌市西区でAさんと同居していたBさん一人です。
BさんはAさんから令和3年に500万円の贈与を受けており、相続時精算課税制度の適用を受けたことで、その500万円について当時贈与税は発生しておりませんでした。
その後、Aさんは令和4年に300万円を、令和5年に200万円をBさんに贈与していましたが、Bさんは令和4年と令和5年の贈与について、贈与税の申告をしていませんでした。
なぜBさんが贈与税の申告と納税をしていなかったかというと、Bさんは次のように考えたためです。
相続時精算課税制度の適用を受けたということは、Aからの贈与はトータルで2500万円までは非課税になる。令和3年の500万円に、令和4年の300万円、令和5年の200万円を加えたところで合計は1000万円であり、2500万円未満になるから納税は発生しないし、申告も不要になる。
しかしながら、札幌市西区のBさんの認識は誤りでした。相続時精算課税制度の適用を一度受けた者は、特定贈与者(Aさん)から受けた相続時精算課税制度の適用後の贈与については、仮に贈与の額の合計が2500万円以下になるとしても贈与税の申告が必要になるのです。
つまりBさんは管轄の札幌西税務署において、令和3年分のみならず、令和4年分と令和5年分の贈与の申告をしなければならなかったのです。その趣旨は、税務署に対して、相続時精算課税制度の特別控除の残額を伝える、ということです。令和4年と令和5年のそれぞれの分の申告をすることで、特別控除額の残額は1500万円なのだと税務署に知らせることが必要なのです。
期限後申告になると、特別控除は?
ここで問題になるのは、相続時精算課税制度を適用した者が行う、初年度より後の年度の特定贈与者からの贈与税の期限後申告の処理についてです。
一般的な考えであれば、札幌市西区のBさんは令和4年分と令和5年分それぞれの贈与税をする際に、特別控除を適用し、2500万円の非課税枠の範囲内だから非課税という申告をすればよいと考えがちです。
しかし、特別控除の適用を受けるためには贈与税申告について「期限内」に申告する必要があります。期限後申告になった場合は、特別控除の適用を受けることができないのです。
特別控除の適用を受けることができないということは、一律20%の贈与税を支払う必要があります。そして贈与税の本税だけでなく、税額が生じるのですから、無申告加算税と延滞税をも支払う必要があることは言うまでもないでしょう。
相続税の処理はどうする
札幌市西区のAさんのケースでは、次の処理をすることになります。
Bさんの令和4年と令和5年の贈与税の申告と納税を行う。
Bさんが相続税申告を行う際に、令和4年分と令和5年分として支払った贈与税額を、相続税額から差し引く
問題なのは、相続税の税額から差し引くことができる贈与税額は、贈与税の本税(本体)だということです。無申告加算税と延滞税については、差し引くことはできませんので注意が必要です。
札幌で相続税の相談に応じていると、札幌市西区のAさんのように、生前贈与の処理が適切にできていないケースが多々見受けられます。相続税申告において、生前贈与の処理に不安がある方は、札幌の相続税専門の当税理士事務所にご相談ください。
札幌・札幌近郊を中心に、当税理士事務所は相続税申告案件に積極的に取り組んでいます。当税理士事務所の代表税理士は司法書士資格をも有し、司法書士の業務でも相続業務を中心に事務所経営をしています。相続税申告をどこに依頼したよいか困っている、まずは相続税の相談をしたい、相続税にかかる税理士費用を知りたい、といったお悩みは、当税理士事務所にお気軽にご相談ください。札幌の相続税専門税理士事務所があなたの力になります。
相続税の数によって相続税額は変わる
相続税の税額について、まずご理解いただきたいのは「相続税額は一定ではない」ということです。
まず単純なことからいうと、相続税額は遺産の規模によって変わります。遺産が5000万円の相続税案件と遺産が1億円の相続税案件であれば、相続税額が異なることは理解に難しくないでしょう。
遺産の規模によって相続税額に違いあることは当然だと理解されている方も多いですが、では、「相続人の数によって相続税額が異なることになる」という点については「正確に」理解されているでしょうか。
このような問いかけをすると、「相続人の数によって相続税申告における基礎控除の額」が異なるのだから、相続税の税額が異なるのは当然だといわれてしまいそうです。
相続人の数によって相続税における基礎控除の額が異なり、相続税額が異なることはその通りですが、相続人の数によって影響を受けるのは基礎控除の額だけではありません。
相続税の総額の計算
相続税の税額は、相続税申告書第2表において計算します。第2表は、「相続税の総額の計算書」なのです。
ところで相続税の「総額」とはどのような意味かというと、こういうことです。相続税の税額を計算するにためには、まずは「総額」を計算します。簡単に言うと、「相続税額は、相続人全員で〇〇円です」というのが額の計算です。
そして総額を計算した後に、その総額を各相続人に割り振り、各相続人がそれぞれ「個別に」負担する相続税額を計算します。個別の相続税額は、相続税の申告書第1表において「按分割合」という基準で割り振ります。按分割合というと難しく聞こえますが、簡単にいうと遺産の取得割合のことだと思ってください。相続人が二人で遺産を7対3で取得するのであれば、相続税額の総額も7対3の割合で負担することになるのです。
相続税の総額の計算の具体的イメージ
では、相続税の総額の計算はどのように行うのか。次の事例を通じてご理解ください。
札幌市手稲区のAさんが死亡し、相続人は子どもであるBさん一人です。Aさんの遺産は1億円です。
このAさんのケースであれば、次のように計算します。
遺産総額1億円から基礎控除の額3600万円を引きます。差し引き6400万円が残りますが、この基礎控除の額を超えた6400万円に対して相続税がかかります。相続税の税率表を見ると、6400万円は税率30%を乗じ、700万円を控除することによって計算しますから、相続税額は1220万円です。
一方で、次のケースだと相続税の総額はいくらでしょうか。
札幌市西区の甲さんが死亡し、その相続人は甲さんの子であるXさん、Yさん及びZさんの3名です。甲さんの遺産は、1億円です。
札幌市手稲区のAさんの事例と同じように、まずは遺産総額1億円から基礎控除の額を引きます。札幌市西区の甲さんのケースであれば基礎控除の額は4800万円(3000万円+法定相続人の数×600万円)ですから、基礎控除を超えているのは5200万円です。
この5200万円ですが、札幌市手稲区のAさんのケースであれば相続税の税率表にそのまま当てはめましたが、今回は違います。基礎控除の額を超える5200万円について、「法定相続人が法定相続分で取得する」と仮定します。札幌市西区の甲さんの法定相続人は子ども3名であり、各3分の1が法定相続分です。結果、各自が1733万3000円(1000未満切り捨て)を取得するということになります。そしてこの1733万3000円を、相続税の税率表に当てはめるのです。
相続税は累進税率なので、この取得財産額が小さくなれば相続税の税率も下がります。1733万3000円の場合は、税率は15%で、控除額は50万です。1733万円×15%=259万9950であり、この額から50万円を引くと209万9,950円となります。
この計算を、相続人ごとに行います。札幌市西区の甲さんのケースであれば相続人それぞれ同様の計算となり、3人とも209万9,950円となります。3名それぞれの額の合計は6,299,850円となり、この額から100未満を切り捨てた6,299,800円が、相続税の総額となります。
このように、相続税の総額の計算過程においては「基礎控除の額を超えた額について、法定相続人が法定相続分で取得すると仮定」をし、それぞれの仮定取得額に相続税の税率を乗じることから、遺産の規模が同じでも、相続人の数によって相続税額には大きな差が生じます。札幌市手稲区のAさんのケースであれば納税額は1220万、札幌市西区の甲さんのケースであれば相続税の総額は約623万円となり、おおよそ2倍の差が生じることになるのです。遺産規模はまったく同じでも、これだけの差が生じるのが相続税の計算なのです。
札幌市中央区にある当税理士事務所は札幌では数少ない相続税に特化した専門の事務所です。相続税申告を専門の事務所に依頼したい、相続税のあるべき処理が分からない、相続税の有効な節税手法を知りたい、という方はお気軽に札幌の当税理士事務所にご相談ください。札幌で相続税申告にお困りの方のお役に立てるよう最善を尽くします。
相続税申告では、生前贈与を加算することがある
相続税申告では、相続開始時点に存在する被相続人の財産を評価し、それらの財産に対して課税される税額を算出します。
しかしながら、相続開始時点においては存在しない被相続人の財産であっても、一定のものは加算しなければなりません。それが「生前贈与」であり、被相続人が亡くなる時期によって、相続開始前3~7年の生前贈与を相続財産に加算して相続税額を計算します。
詳しくは「相続税申告で加算する贈与」をご覧ください。なお、本記事で解説する「生前贈与」は、いわゆる暦年贈与のことだとご理解ください。
生前贈与における贈与税額は相続税額から控除
相続税申告で加算する生前贈与について、贈与税の申告と納税をしていたら、その贈与税額は相続税額から控除されることになります。これは、贈与税と相続税の二重課税を排除することための規定です。
では、本来行うべきであった贈与税の申告と納税をしていなかったら、どのようになるのでしょうか。次の事例で検討しましょう。
札幌市中央区のAさんが令和8年11月に死亡し、その相続人は子どもであるB(札幌市北区在住)とC(札幌市清田区在住)の2人であり、Aさんの遺産は約1億円でした。Aさんは、Bさんに対し、次の内容の生前贈与をしていましたが、それぞれ贈与税の申告と納税をしていませんでした。
令和6年10月→300万円の贈与
令和7年11月→500万円の贈与
令和8年5月→200万円の贈与
上記の札幌市中央区のAさんの事例においては、なすべき処理がされていません。Bさんがそれぞれ受けた贈与について、贈与税の基礎控除の範囲を超えているため、本来であれば贈与税の申告と納税が必要であるにもかかわらず、それがなされていないのです。
Aの遺産は札幌市北区にある自宅を含め、1億9500万円であり、BさんはAさんの相続によってAさんの遺産を取得することになります。
相続税申告の前に贈与税の期限後申告
相続税申告で加算する生前贈与の申告と納税が済んでいないのであれば、贈与税の申告が期限後であっても、贈与税の申告と納税をしなければなりません。
札幌市中央区のAさんのケースであれば、Aさんの子のBは自らが得た贈与について、申告と納税を期限後申告するのです。
注意が必要なのは期限後申告するべき生前贈与です。期限後申告が必要なのは、相続開始の年よりも前になされた贈与についてです。相続開始の年になされた贈与については、「原則として」贈与税の申告と納税は不要ですのでご注意ください。札幌市中央区のAさんのケースであれば次のとおりです。
令和6年10月→300万円の贈与→贈与税の申告と納税を行い、支払った贈与税額について、相続税額から控除する。
令和7年11月→500万円の贈与→贈与税の申告と納税を行い、支払った贈与税額について、相続税額から控除する。
令和8年5月→200万円の贈与→贈与税の申告と納税を行わず、相続税申告でその贈与分を加算して相続税として納税する。
相続開始年の生前贈与の処理について
贈与税の申告と納税ですが、相続開始の年にあった贈与については不要と考えるのが原則です。
「原則として」という表現には注意が必要です。
生前贈与を受けた者が相続人等であり相続財産を取得する場合は、相続税申告と納税が必要な場合は、相続開始の年に被相続人からなされた生前贈与は贈与税の対象ではなく相続税の対象です。つまり相続税申告において加算はするものの、贈与税を支払っているということはないため、相続税額からの控除ということもありません。
一方で、被相続人から生前贈与を受けた者が相続財産を取得するものでない場合は、相続開始の年になされた贈与については贈与税の申告が必要です。被相続人から生前贈与を受けた者が相続財産を取得する者でないのなら、その者は相続税の申告義務がなく、当該生前贈与について「相続税」として処理することはできません。相続税として贈与財産について課税を行うことができないため、贈与税の申告と納税によってその課税関係を終結させるのです。
札幌市中央区のAさんのケースであれば、Bさんは相続財産を取得する者ですから、令和8年の生前贈与については贈与税の申告と納税は不要になります。
札幌市中央区にございます当税理士事務所は、相続税専門の税理士事務所です。相続税をどこの税理士事務所に依頼すればよいか分からない。相続税申告を専門とする税理士事務所にまずは相談したい。相続税の有効な節税対策について知りたい。このような相続税にまつわるお悩みがある方は、相続税を専門とする当税理士事務所にご相談ください。
生前贈与は相続税申告で加算することがある
相続税の申告といえば、被相続人が相続開始時点において有していた財産を評価し、その相続財産に対して税金が発生するものです。
注意が必要なのは、一定の生前贈与であれば相続税の申告における相続財産に加算しなければならないことです。「生前贈与」というからには、その贈与財産は相続開始時においては被相続人の手元にはありません。その「相続開始時にはない財産」を加算するのが、贈与財産の加算というルールなのです。
※本記事で解説する生前贈与は、いわゆる「暦年贈与」についてです。
なぜ生前贈与を加算するのか
一定の生前贈与を加算するのには理由があります。もし生前贈与を野放しに認め、相続税申告においてその生前贈与を無視すると、生前贈与を活用した相続税逃れが容易にできてしまうためです。
たとえば次の例を通じて検討しましょう。
札幌市北区のAさんが令和9年1月に死亡しました。Aさんには札幌市東区に住んでいる子供のBがおり、BのみがAの相続人です。
Aは死亡の直前である令和8年3月に、Bに対して500万円を贈与していました。
Aの遺産は札幌市北区にある自宅を含め、1億9500万円でした。
もし相続税申告において、この500万円を無視すると、Aの遺産は1億9500万円に対して相続税が課せられます。
一方でこの500万円を相続財産に加算すれば、Aの遺産は2億円となります。
相続税の税率と贈与税の税率・税額がまったく同じなのであれば、AがBに渡した500万円について、相続税で払うか贈与税で払うかの違いであり、国税の徴収という観点からはさほど問題になりません。
しかし現実には、相続税の税率と贈与税の税率は異なります。相続税も贈与税もいずれも累進税率ですので、承継対象財産が大きくなればなるほど税負担が大きくなります。もし相続税申告において生前にした贈与がまったく考慮されないのであれば、この「相続税と贈与税の税率が異なる」という点に目をつけて、生前贈与を活用して相続税額を含むトータルの税負担額を簡単に引き下げることができてしまいます。このような行為に一定の歯止めをかけるのが、相続税申告における生前贈与の加算なのです。
加算する生前贈与
ただし過去すべてにさかのぼって、あらゆる生前贈与を相続税の申告で加算するというのは酷です。もしすべての生前贈与を加算するのであれば、贈与を行うことをする人が減り、社会生活を健全に営むことが難しくもなります。
そこで加算する生前贈与については次のとおりです。
まず「対象者」ですが、相続税申告において加算しなければならないのは、被相続人となる者から生前贈与を受けた者のうち、「相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与(「相続等」といいます。)によって財産を取得した人」です。
基本的には「相続人」だとまずは考えましょう。まったくの赤の他人に対して行った生前贈与は、相続税の申告において加算する必要はありません。
次に「期間」ですが、被相続人の死亡日からさかのぼって3~7年の間になされた贈与が加算の対象です。
税制改正によって、加算する期間が「7年になった」というお話を聞いたことがある方もいるでしょう。たしかに7年にはなりましたが、その適用には経過措置があります。亡くなったタイミングによって、次の3つのパターンに分けて処理されることになります。
被相続人の死亡日が令和8年12月31日までの間:相続開始前3年以内の生前贈与を加算
被相続人の死亡日が令和9年1月1日~令和12年12月31日までの間:令和6年1月1日から死亡の日までの間の生前贈与を加算
被相続人の死亡日が令和13年1月1日以降:相続開始前7年以内の生前贈与を加算
贈与税の納税額は相続税額から控除
生前贈与で納めた税額がある場合に、その生前贈与財産が相続財産に加算される場合は相続税も課税されることになるため「二重課税になる」という事態が生じます。
そこで相続税の申告においては、生前贈与の際に納税した贈与税額は、相続税の税額から控除してよい、ということになっています。たとえば贈与税として100万円を納めたのであれば、相続税申告において納めるべき税額が仮に700万円であれば、その100万円を700万円から引いて納税すればよいのです。
札幌・札幌近郊で相続税の申告にお困りの方は、当税理士事務所にお任せください。札幌市中央区にございます当税理士事務所は相続税申告に特化した専門の事務所です。相続税の申告が必要なのか分からない、相続税申告のプロに任せたい、相続税申告の処理の方向性が知りたいなど、札幌の相続税専門の税理士にご相談ください。
同族法人が債務超過、その会社に対する貸付金
札幌で相続税の無料相談に応じていると、様々な相談が寄せられます。そのなかに、「同族法人への貸付金の評価」というご相談がありました。次のケースをご覧ください。
札幌市中央区で会社経営をしていたAが死亡し、その相続人はAの子供であるBです。Aの遺産は自宅不動産や預貯金の他に、自身が経営していた会社(株主はAで、社名は札幌A株式会社といいます)への経営者貸付金1億円がありました。
札幌A株式会社の財政状態はよくなく、いわゆる債務超過です。ただ債務超過といっても、経営者貸付金(会社から見ると経営者であるA個人からの借入金)が貸借対照表を圧迫し、他の銀行借入などと合わせて債務超過に陥っている状態です。
札幌A株式会社は、わずかながら利益は毎期出しています。しかしながら1億円もの経営者A個人からの借入金を返済することはできず、無利子無期限でA個人が会社に貸し付けていた状況のまま、Aが死亡してしまいました。
札幌A株式会社が属する業界は落ち目といえる業界であり、今後札幌A株式会社の業績が拡大して経営を再建することはほとんど現実的といえません。
相続税の申告実務をしていると、札幌に限らず被相続人が会社経営者ということは珍しくありません。一般の会社員や公務員に比べて、会社経営者はやはり富裕層に位置づけられる方が多くいるためです。
問題は貸付金の相続税評価
会社経営者が自らの会社に貸付金を有している状態で死亡した場合に問題となるのは、その貸付金の評価です。
仮に札幌A株式会社の財政状態と経営成績が絶好調であり、債務の支払いに何らの心配もない場合は、A個人の財産として札幌A株式会社に対する貸付金は、相続開始時に未回収の額をそのまま相続税申告に計上すればよいと考えられます。
一方で現実は違います。札幌A株式会社は債務超過状態であり、事業が好転することも不可能な状況に陥っています。A個人が札幌A株式会社に「貸した金を返せ」といったところで1円だって返ってこない状況であり、これはAが死亡した後も状況に変化はありません。
そうなると、A個人の相続財産を評価するなかで、札幌A株式会社への貸付金は「回収不能債権」ということでゼロ円として評価してよいのでしょうか。額面の1億円として評価するのと、ゼロ円で評価するのでは、相続税額にも大きな影響がありますので検討しなければなりません。
財産評価基本通達205
財産評価基本通達には、次のように記載されています。
貸付金債権等の評価を行う場合において、その債権金額の全部又は一部が、課税時期において次に掲げる金額に該当するときその他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるときにおいては、それらの金額は元本の価額に算入しない。
上記を読むと、一瞬ですが札幌A株式会社への貸付金は評価ゼロでよいのではないか、と思うかもしれませんがそうではありません。
「次に掲げる金額に該当するときその他その回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」の「次に掲げる金額に該当するとき」とは、たとえば次のような場面です。
手形交換所で取引停止処分を受けている
会社更生法や民事再生法で、更生手続・再生手続の開始決定があったとき
破産法の規定によって破産手続開始決定があったとき
など
結局のところ、ほとんど倒産状態でにっちもさっちもいかないとき、でなければ「回収が不可能又は著しく困難」とは認められないのです。札幌A株式会社は利益をわずかですが出せていた状況なので、このような状況には該当しないといえます。
その後会社が本当に消滅したら
札幌A株式会社のような会社は、遅かれ早かれ役目を終え、解散清算を行うことになるでしょう。あるいは業務が行き詰まり、倒産ということも考えられます。
A個人が有していた札幌A株式会社への株式をBが相続し、その後数年のうちに会社が消滅したことをもって、Bは「1億円の会社への貸付金があった」として申告した被相続人Aにかかる相続税申告において支払った相続税額を、後日において取り戻すことはできるのでしょうか。一度払った税金を取り戻す手続のことを「更正の請求」といいますので、更正の請求は認められるのか、ということが問題となります。
基本的には更正の請求は認められないと考えるのが相当でしょう。
なぜなら、会社への貸付金の評価時点はあくまでも「相続開始日」だからです。相続開始日とはAの死亡日であり、Aの死亡日においては、札幌A株式会社は利益を出せていた会社です。その時点では、貸付金の評価としては「回収不能または回収が著しく困難」とは言えなかったわけですから、貸付金を1億円とした評価は間違いではありません。
会社が消滅した、というのは評価時点よりも後の話であって、評価時点の評価には影響を与えないと考えるのが相当でしょう。
しかしながら、この点については、会社の財政状態や経営成績だけでなく、属している業界の傾向なども鑑み、実際の事例では丁寧な検討が必要となります。
相続開始後に配偶者相続人が死亡、相続税の「配偶者の税額軽減」は?
札幌市中央区の当税理士事務所は、相続税特化の税理士事務所です。相続税申告の仕方が分からない、相続税の相談がしたいのに相談先がない、相続税申告を得意とする税理士に依頼したい、相続税申告の費用がどのくらいかかるか知りたい、相続税額を節税したい。このようなことは当税理士事務所にお気軽にご相談ください。
相続税における「配偶者の税額軽減」とは
相続税申告において、配偶者相続人にだけ特別な優遇制度が用意されています。その優遇制度とは、「配偶者の税額軽減」です。
配偶者の税額軽減とは、配偶者相続人が遺産分割等によって取得した相続財産の額が、次のどちらかに多い金額までは、配偶者相続人に相続税は課されないという制度です。
1億6000万円
配偶者相続人の法定相続分相当額
配偶者相続人の法定相続分は、相続関係によって異なります。配偶者と子が相続人の場合は2分の1、配偶者と直系尊属が相続人の場合は3分の2、配偶者と兄弟姉妹(甥姪含む)が相続人の場合は4分の3が、配偶者相続人の法定相続分です。
法定相続分が1億6000万円を超えるという方は非常に少数ですので、配偶者の税額軽減は、ほとんどの方にとっては「配偶者相続人が取得する遺産の額が1億6000万円までであれば非課税になる制度」と理解すれば足ります。
配偶者の税額軽減で相続税がゼロに
札幌で相続税の無料相談に対応していると、札幌だけでなく札幌近郊などからも数多くのご相談者がご来所されます。先日、次のような相談がありました。
札幌市東区のAさんが死亡し、その相続人は配偶者のBとAB間の子であるCとDの合計3名です。Aの遺産は札幌市東区の自宅不動産を含めおよそ1億円でした。
BCD間にはまったく争いはありませんでしたので、話し合いの結果、Aさんの遺産は札幌市東区の自宅不動産を含めてそのすべてを配偶者Bが相続することになりました(この話合いは、相続税の申告期限までに完了しています)。
配偶者の税額軽減制度があることから、Bは相続税がゼロになります。1億円もの不動産や金融資産を相続しても、結果として非課税という扱いになるのです。
※配偶者の税額軽減の適用を受けるためには、相続税申告が必要です。相続税申告をした上で、税額軽減の適用を受けて納税額がゼロになるのです。納税額が生じないからといって相続税の申告が不要なわけではありません。
配偶者相続人が遺産分割の前に死亡したケース
先日、相続税のご相談で、次のような状況の方がいました。前述の札幌市東区のA
さんのケースと似ていますが、少しだけ異なります。
札幌市厚別区の甲さんが令和8年2月に死亡し、その相続人は配偶者の乙と甲乙間の子である丙と丁の合計3名です。甲の遺産は自宅不動産を含めておよそ9000万円でした。
令和8年4月に、甲の後を追うように乙も亡くなってしまいました。甲の遺産について、乙丙丁の3名での分割は済んでおりません。乙の相続人は丙と丁の2名のみです。
上記のケースは、意外とよく聞く事例です。札幌で相続税の相談に数多く接していると、配偶者相続人が自らの配偶者の後を追うように立て続けになくなるということは珍しくないと感じます。
配偶者相続人の死後でも配偶者の税額軽減の適用可能
札幌市東区のAさんのケースと札幌市厚別区の甲さんのケースは似ているにもかかわらず、甲さんのケースで配偶者の税額軽減の適用が認められないとするのなら、それは非常に不合理です。
乙の死亡は予測できない突然のことであり、その突然の事象によって納税額が大きく変わってしまうのは、納税者にとって酷なことです。
したがって相続税法基本通達19の2-5により、甲さんのケース(相続開始後で遺産分割の前に配偶者相続人が死亡したケース)であっても、一定の要件を満たしていると配偶者の税額軽減の適用を認めています。その要件とは、次のとおりです。
※以下における「一次相続」とは、甲さんのケースであれば令和8年2月に発生した甲さんの相続のことです。
一次相続における配偶者相続人以外の相続人と配偶者相続人の相続人の合意がある。
その合意によって、一次相続において配偶者相続人が取得するとした相続財産がある。
たとえば甲さんのケースであれば、甲の相続における乙以外の相続人は丙と丁です。そして乙の相続人は丙と丁です。結果、甲の相続(一次相続)において、丙と丁の2名によって、「札幌市厚別区の自宅不動産は死亡した乙が相続したことにしよう」とすれば、その自宅不動産は乙が取得したと扱うことができるのです。そして乙が取得した財産の額は1.6億円に満たない額ですので、配偶者の税額軽減を適用して、乙の納税額はゼロになります。
プランニングによって納税額が大きく異なる
札幌市厚別区の甲さんのようなケースは、税理士としてはまさに腕の見せ所です。
甲さんの遺産を乙さんを経由せずに丙と丁に承継させるのか、あるいは乙を経由して丙と丁に承継させるのか、いずれかによってトータルの納税額が大きく異なることがあります。
札幌の相続税専門の当税理士事務所では、一次相続において配偶者相続人が存在する場合は、配偶者の固有財産の状況を伺った上でプランニングを行います。一次相続で配偶者相続人がいくら取得することが、将来の配偶者相続人が死亡したときの相続(二次相続)の負担との兼ね合いで合理的なのか、検討を行うのです。