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相続税の課税対象財産といえば不動産や預貯金がメインですが、他にも課税対象財産があります。自動車もその課税対象財産のひとつであり、相続税申告書に計上する財産です。自動車の相続税法上の評価の仕方というと、財産評価基本通達には次のように記されています。
財産評価基本通達129 一般動産の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価する。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)
自動車は一般動産に該当し、次のいずれかの方法で評価することになります。
原則は「売買実例価額」で評価
自動車の相続税法上の評価額の大原則は「売買実例価額」で評価します。相続開始日(つまり被相続人の死亡日)において、売却したらいくらになるのか、という仮定の額で評価することを意味します。「売却したらいくらになるのか」という点は、買い手が誰になるかで大きく変動するものです。中古車販売業者に売却するのであれば、当然販売業者が損をしないように低い価格での買取になるものですが、もしその自動車を使うエンドユーザーに直接売却できるのであれば、中古車販売業者に売るよりも高く売れます。さほど高価でない自動車であれば、昨今はメルカリやヤフオクなどでエンドユーザーに直接売却するケースも本当にあるようです。
相続税法上の評価としては、あくまで中古車販売業者の買取価格をもって評価すれば足ります。自動車をエンドユーザーに直接売るというのは一般的な行為ではないばかりか、中古車販売業者の買取価格の方が年式や走行距離、さらには事故歴などを客観的に評価してなされる安定的な査定に戻づくものだといえるためです。
インターネットで「メーカー、年式、走行距離、事故歴」などを入力して得られた買取価格をもって評価すれば足ります。
がしかし、もっと簡単なのは、実際にディーラーや大手中古車販売業者に車を持ち込んで査定をもらうことです。評価時点はあくまで相続開始時ですので、相続開始時から時間が経たないうちに査定をもらうとよいでしょう。この「査定」については、売買実例価額というよりも、続いて解説する「精通者意見価格」による評価だともいえます。
精通者意見価格による評価
相続税申告にあたって課税対象になる自動車というと、一般的には世の中に広く流通している車であることが多いですが、中にはプレミア級の自動車を保有している人が亡くなることもあります。たとえば限定生産のフェラーリやランボルギーニを所有していたり、状態のよいいわゆるクラシックカーを保有している人もいて、そのような人が亡くなった場合、車の評価はなかなかに大変です。「売買実例価額」とは、「実際に売ったらいくら程度になるのか」という視点で自動車を評価しますから、そのような評価は「流動性のある市場が存在している」という場面でこそ評価することが可能です。しかしプレミア級の自動車は「一点もの」の世界ですから、市場というものはなく、「メーカー、年式、走行距離、事故歴」をインターネットで入力して簡単に評価額がわかるものではありません。
このような自動車であれば、専門業者やディーラーに査定や鑑定をしてもらう必要があります。プレミア級の自動車であれば、できれば書面で査定書や鑑定書を取得したいところです。
償却計算による評価
売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない自動車の場合は、償却計算をして評価を行います。同グレードの新車を購入した場合の価額から、計算によって算出された「償却費相当額」を差し引いて計算をするのです。償却計算の仕方は、財産評価基本通達130に則り、定率法で行います。耐用年数については、普通自動車であれば6年、軽自動車であれば4年です。
この償却計算による評価について注意点を述べるとするならば、それは償却計算によって評価を行うのは「売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない」場合だという点です。
インフレが激しい昨今、自動車の価額は非常に上昇しています。昔は200万円程度で買えていた自動車と同グレードの自動車を現在買おうとすると、倍近くするということも珍しくありません。もちろん新車だけでなく、中古車の相場も相当に上がってきています。
このような状況において償却計算によって算出した評価額が時価といえるか、というと非常に疑問です。たとえば7年落ちの普通自動車であれば、耐用年数を過ぎていることから、償却計算によって評価を行うと価値は(ほとんど)ゼロとなります。しかし実際に売りに出してみると、7年落ちでも8年落ちでも、令和の現代であればそこそこの価額(たとえば100万円以上)で売却できることもあります。
このように、適切な時価で評価をする、ということを主軸とすると、償却計算によって自動車を評価することには慎重にならざるを得ません。償却計算による自動車の評価額が、税務調査において指摘を頂戴するということだってあるでしょう。
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