相続税の「基礎控除」とは
相続税は、被相続人の遺産総額から一定の額を差し引いたうえで、課税対象となる金額に対して課税されます。その一定の額のことを「基礎控除額」といい、基礎控除額は相続税の申告・納税が必要かどうかを左右する重要な非課税枠です。相続税が課税されるか否かを考える際は、遺産の額が、この「基礎控除」を超えるかどうかを検討しましょう。
遺産の額が基礎控除額を超えない場合は、納税の必要がないばかりか、申告の必要もありません。
※札幌で相続税業務に取り組んでいると、遺産の額が基礎控除額を超えるかどうか微妙な方が非常に多くいらっしゃると感じます。基礎控除を超えるかどうかは、慎重に判断してください。
基礎控除額の計算の仕方
相続税の基礎控除額は、次のように計算します。| 3,000万円+(600万円×法定相続人の人数) |
札幌市北区のBさんが死亡して、その相続人が2名であれば、基礎控除額は4200万円(3000万円+1200万円)です。
基礎控除額については、以下の早見表を参考にしてください。
基礎控除の早見表
| 法定相続人の数 | 基礎控除の額 |
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
(注1)平成26年までは、基礎控除の額は「5000万円+(1000万円×法定相続人の人数)」で計算されていました。
基礎控除の計算、ここに注意
1:相続人が相続放棄をしていたら?
家庭裁判所で相続放棄の手続きを行い、その申述が受理されると、その者は初めから相続人ではなかったと扱われます。たとえば札幌市東区のCさんが死亡し、その子Dが管轄の札幌家庭裁判所で相続放棄をすると、DはCの相続人ではないことになるのです(その証明として、札幌家庭裁判所で相続放棄申述受理証明書が発行されます)。このように、相続放棄によって相続人の人数は変動することになります。
ここでもし相続税の基礎控除の額も変動することになると、相続人の意思によって、相続税額を容易に削減できることにもつながってしまいます。これでは課税の公平性が保てないため、相続放棄をしても、相続税の基礎控除の額には影響しないことになっているのです。
2:被相続人が養子縁組をしていたら?
戸籍上の手続きにおいて、養子縁組をすることで被相続人の子になることが可能です。札幌市であれば各区役所の戸籍住民課で届け出をすれば、比較的簡単に養子になることができるのです。この養子縁組により、基礎控除の額を好きなように増やせるように思えます。たとえば被相続人に実子が1人いる場合に、養子縁組をして養子を5人増やせば、基礎控除の額は3000万円(600万円×5人分)増えると考える方がいるのです。
このように養子縁組を通して相続税の負担を免れることを防ぐため、相続税の基礎控除を計算する過程においては、次のように養子の数は制限されています。
・被相続人に実子がいる場合 → 養子1名分のみ基礎控除の額が増える
・被相続人に実子がいない場合 → 養子2名分まで基礎控除の額が増える
ただし、次のいずれかに当てはまる場合は、その養子は実の子供として扱われます(つまり法定相続人の数に含められ、基礎控除の額の計算に反映することが可能)
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| ②被相続人の配偶者の実子で、被相続人の養子になった者 →いわゆる配偶者の連れ子を養子にしたケースです。 |
| ③代襲相続人にとなった孫養子 |
3:内縁の配偶者、受遺者は、基礎控除の計算に反映しない
法律上の婚姻関係にない者でも、事実上の婚姻関係があったのであれば、「内縁の配偶者」として民法上の様々な恩恵を受けることができる場合があります。しかしながら、内縁の配偶者は「法定相続人」ではありませんので、相続税の基礎控除の額を計算する過程で、内縁の配偶者は基礎控除の額の算定には含まれません。
同じように、法定相続人ではないものの、被相続人の遺言で財産を授けられた「受遺者」も、受遺者というだけでは法定相続人ではないことから、基礎控除の額の算定には含まれません。




