タワマンの相続税評価
全国の各主要都市の駅前には、いわゆるタワーマンションが多く建てられており、札幌もその例外ではありません。札幌駅だけでなく、大通駅、琴似駅、苗穂駅、さらには新さっぽろ駅の周辺にもタワーマンションがあります。タワーマンションは人気があり、平均的なマンションよりも高価格で取引されています。札幌駅前に建設されたタワーマンションの上層階などは、3億円や4億円といった値付けがされているようです。「本当に札幌のマンションの話なのだろうか」と思ってしまいます。
そんなタワーマンションの相続税評価は、令和6年税制改正によって大きく変わったことは広く知られています。タワーマンションは戸数が非常に多いことから1戸あたりの土地の持分(敷地の持分)の評価額がものすごく低くなっていました。一方で売りに出した場合の実勢価格は非常に高く、この差を利用して「亡くなる前に現金をタワマンにかえておく」という節税(?)が横行したためです。現金だったら1億円は相続税の評価額も1億円ですが、タワマンであれば1億円相当のタワマンがたとえば3000万円の評価になっていたためです。
令和6年の税制改正の内容を簡単まとめると、マンションについて「築年数が新しければ新しいほど高くする」「被相続人の部屋の階数が高ければ高いほど評価を高くする」「建物の総階数が高ければ高いほど評価を高くする」という改正でした。ある計算を行い「補正率」を算出し、評価額にその補正率を乗じなければならなくなったのです。これにより、タワマンの相続税法上の評価額は実勢価格に近付いたといえます。
ある札幌のタワマンの評価
札幌相続相談所で取り扱った事例において、あるタワーマンションの一室の評価を行って相続税申告をしたことがありました。ここで、タワマンの評価をどのように行うのか、どのような点に注意すべきかを札幌の相続税理士が解説します。
タワマンの評価の基本は、まずは一般的なマンションの評価のそれと変わりありません。正面路線価を特定し、敷地に路線価を乗じ、最後に持分を乗じて1戸あたりの土地評価額を算出するのが基本です。
一方で、タワマンだからこその注意点というのもあります。
マンションは戸建てよりも敷地が広いのは当然ですが、タワマンともなると敷地は本当に広いといえます。特に北海道札幌市などの地方都市であれば東京のマンション以上に広い敷地のマンションも存在します。
そのようなことから、マンションの敷地が「一路線に面している」という状態ではなく、二路線、三路線に面しているということだって考えられます。札幌相続相談所が取り扱った事例においては、四路線に面したタワマンというものもありました。四路線に面しているということは、大きな一区画すべてタワマンの敷地ということです。
一路線にのみ面しているマンションとは異なり、複数路線に面している土地であればそれだけ利便性が高まっていることから、平米当たりの路線価にその利便性向上によって生じた価値の増加分を加算しなければなりません。四路線に面しているとなると、二路線目の加算、三路線目の加算、四路線目の加算、と徐々に平米あたりの路線価が引き上げられます。
加算項目ばかりでは財産の評価が上がってしまうばかりですが、タワマンの敷地が不整形であれば、不整形補正率によって平米当たりの評価額を引き下げることができます。
札幌相続相談所が扱った事例においては、タワマンの敷地が若干不整形であったために、平米単価を下げることに成功しています。不整形の補正率計算は非常に複雑ですが、数少ない「減額項目」ですので、間違いのないように行いましょう。
減額項目といえば、「地積規模の大きな宅地」に該当すれば、平米当たりの評価額を引き下げることができます。大きすぎる土地は、マンションを建てたり巨大店舗を建てたりするくらいしか活用方法がないため、逆に価値が下がっているともいえるためです。
タワマンにおいて「地積規模の大きな宅地」を検討する際に注意しなければならないのは「指定容積率」です。札幌の場合は、評価の対象となる宅地の指定容積率が400%未満であることが要件となっていますが、タワマンは容積率が大きな土地に建てるものですので、タワマンの敷地の容積率が400%以上になっていることだってあるのです。
札幌市内の某タワマンを評価した際は、指定容積率が300%でしたので「地積規模の大きな宅地」として扱うことができ、評価額を下げることができました。
区分補正率はどの程度か
そしてタワマンの評価といえば「区分補正率」です。前述したように、築年数が浅ければ浅いほど、総階数が高ければ高いほど、所有している部屋の所在階が高ければ高いほど、区分補正率の適用により評価額を大きくしなければなりません。札幌のあるタワーマンションにおいては、区分補正率は約1.6でした。ちなみに物件の状況としては総階数が40階、所在階が15階でした。上の階になると、区分補正率は2に近づくことが予想されます。
区分補正率が1.6ということは、敷地と建物(マンションのコンクリートの建物部分)の評価額に1.6を乗じるということですから、相当な評価額の増加となります。
札幌タワマンの評価額と実勢価格の差について
札幌相続相談所で札幌市内の某タワマンを評価したところ、その評価額は2700万円ほどになりました。では、その物件を売りに出したらいくなのか、、、この実勢価格については、おそらく5000万円を超えると思われる物件でした。結局、区分補正率があったとしても物件の相続税法上の評価額と実勢価格との間には大きな乖離があります。
※この乖離があまりにも大きい物件については「総則6項」の適用が生じる可能性がありますが、総則6項は別の機会に紹介します。




