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相続放棄を間違えて行ったケース
札幌相続相談所は、税理士と司法書士のダブルライセンス事務所だからこそ、一般的な税理士事務所よりも相談内容の幅が広いといえます。実際にあった相談内容は、次のようなものです。
札幌市東区のAさん(80歳)が死亡しました。Aさんの相続人は配偶者のBとAB間の子のCです。Aのその他の親族といえば、Aの弟のDがいます。
Aの遺産は東区の自宅不動産(評価額5000万円)と預貯金(5000万円)の合計1億円です。
相続人であるBとCの関係は非常に良好であり、Cは自身の生活が安定しているということ、Bにはなるべく豊かな老後を送って欲しいと思っていることから、Aの遺産のすべてをBに相続して欲しいと考えて、身を引く覚悟で相続放棄を行いました。
相続放棄は西11丁目駅近くの札幌家庭裁判所に申述書を提出し、手続きは事務的に進められました。申述書提出から2週間後、Cの自宅に札幌家裁から相続放棄申述受理通知書が届き、相続放棄の手続きが完了となりました。
これで被相続人の配偶者であり自分の母親であるBにすべての遺産を相続させられる、と考えた矢先、とんでもない事態に発展していることに気づくことになります。
Aの遺産は東区の自宅不動産(評価額5000万円)と預貯金(5000万円)の合計1億円です。
相続人であるBとCの関係は非常に良好であり、Cは自身の生活が安定しているということ、Bにはなるべく豊かな老後を送って欲しいと思っていることから、Aの遺産のすべてをBに相続して欲しいと考えて、身を引く覚悟で相続放棄を行いました。
相続放棄は西11丁目駅近くの札幌家庭裁判所に申述書を提出し、手続きは事務的に進められました。申述書提出から2週間後、Cの自宅に札幌家裁から相続放棄申述受理通知書が届き、相続放棄の手続きが完了となりました。
これで被相続人の配偶者であり自分の母親であるBにすべての遺産を相続させられる、と考えた矢先、とんでもない事態に発展していることに気づくことになります。
相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所において行うものであり、申述が受理された場合、その者は「はじめから相続人でなかった」と扱われます。はじめから相続人でなかったのですから、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も承継しなくて済むことから、被相続人が借金を抱えていたような場合のほとんどで相続放棄がなされます。
相続放棄の効果としての「相続権の移転」
相続放棄のメインの効果は、なんといっても「はじめから相続人でなかったことになる」という点につきます。しかしながら、他にも効果があります。それは、「相続権の移転」です。
これを理解するためにはまずは法定相続制度を正確に理解しなければなりません。ある方が死亡した際に相続が発生し、その者に配偶者がいたら配偶者は「常に」相続人になります。それに対して配偶者以外の者については第一、第二、第三という形で「順位」があります。
第一順位は、被相続人の子です。子が被相続人よりも先に死亡していた場合、その被相続人の子にさらに子(被相続人から見て孫)がいれば、その孫が相続人になります。
第二順位は、被相続人の直系尊属です。直系尊属とは家系図を書いたときに縦の関係になり、自分よりも上に位置する者のことを指します。端的にいうと両親や祖父母、さらには曾祖父母も直系尊属にあたります。第一順位がいない場合で被相続人の直系尊属が存在した場合、その直系尊属が相続人になります。両親も祖父母も存在する、というケースでは被相続人から近い者(つまり両親)が相続権を有します。
第三順位は被相続人の兄弟姉妹です。被相続人に第一順位の者がおらず、第二順位の者もいない、というケースで、被相続人に兄弟姉妹がいたらその兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡しているようなケースで、兄弟姉妹に子(つまり被相続人から見た場合の甥や姪)がいたら、その甥や姪が相続権を有します。
ここで相続放棄のメインの効果を思い出してください。相続放棄をした者は、はじめから相続人でなかったことになるのですから、相続関係においてはじめから存在しないという扱いになります。結果、相続放棄によって相続権が後順位に移転します。被相続人Aの子であるCが相続放棄をした結果、その相続権は第二順位の者(被相続人の直系尊属)に移ります。第二順位の者が存在しなければ、第三順位の者(被相続人の兄弟姉妹)に移ります。被相続人Aには兄弟のDがおり、まだ存命でした。結局、Cが相続放棄をしたことでその相続権はDに移り、Aの配偶者BとDが相続人になるのです。
このようなことで、Dにも相続権が移転してきました。Dの法定相続分は4分の1ですから、配偶者BとDとの間で遺産分割協議を行う必要があり、Dが自らの主張を貫いた場合、4分の1の権利は認められることになります。
相続放棄を取り消し・撤回したい……
被相続人Aさんの相続のケースであれば、Cがもし相続放棄を取り消し・撤回できるのであればそれに越したことはありません。「はじめから相続人でなかったことになる」という効果が相続放棄の効果なのですから、それを取り消し・撤回することで、Cの相続権が復活し、BとCだけで遺産分割を行うことが可能になるからです。しかし、相続放棄の取り消し・撤回は基本的にはできません。
相続放棄が受理される前であれば、「やっぱり相続放棄するのをやめます」という意味で相続放棄を取り下げることは可能です。相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出したら、一般的な取り扱いでは家庭裁判所から「照会書」という書類が申述人に送付されます。その照会書のなかに「相続放棄の申述はあなたの意思ですか、このまま進めてよろしいですか」という質問項目があります。この段階で家庭裁判所に連絡し、「やっぱり相続放棄するのやめます」と伝えたら、相続放棄の手続きは止まります。
一方で、相続放棄が受理された後であれば、「やっぱり相続したいので相続します」というのは認められません。相続放棄の手続きは裁判官が関与する厳格な手続きですから、申述した者の意思によって簡単にその効果が覆ると、いたるところで混乱が生じるからです。
例外的に、次のような事情があれば取り消しや無効の主張ができます。
後順位の相続人の協力を経て、なんとか解決
札幌相続相談所にご依頼のあったケースでは、後順位の相続人の協力を得て、無事に解決することができました。被相続人Aさんの相続人は、子供であるCが相続放棄をしたことで、配偶者であるBと兄弟であるDの二人になりました。Cから見て叔父にあたるDですが、BCとDの関係は良好でした。弁護士に相談して相続放棄の取り消しは難しいと判断したCは、Dに事情を話し、協力を要請します。自分が間違えて相続放棄をしてしまったこと、相続放棄をしてしまったことで相続人がBとDになること、を説明したうえで協力をお願いしました。
その結果、Dは快諾してくれ、BとDの間の遺産分割協議において、「Aの遺産のすべてはBが単独で相続する」という遺産分割協議が成立しました。この遺産分割協議に基づき、相続税の申告を行い、無事に案件として完了となりました。
後順位の者への謝礼はどのように扱うべきか
ここで相続税申告を専門に扱う税理士ならではの疑問が生じることがありました。それは、「謝礼」の扱いです。間違えて相続放棄をしたことで後順位の相続人に協力してもらうことになった、というようなケースでは、後順位の相続人に協力の「謝礼」を支払うことが多いと思われます。いわゆる「ハンコ代」です。遺産分割協議書に「すべての相続財産はBが相続する」という記載されており、その協議書に実印を押印して印鑑証明書を提供してくれているのですから、やはり感謝の気持ちを示すために一定の金銭のやり取りが行われても不自然ではありません。
ところで相続税の申告は「相続または遺贈によって財産を取得した者」が申告を行って納税しなければなりません。謝礼を受け取ったDは「相続」によって金銭を受け取ったと理解されても仕方がない立場だといえます。仮に「代償分割」という方法を選択し、「すべての財産を配偶者であるBが相続する。その代償としてBはDに対して〇〇円を支払う」という形を取る場面とほとんど経済的実体は同じだといえるためです(代償金を受け取ったDも、相続税を負担する立場です)。
Dが受け取ったのは「相続」の一環として受け取ったものであり、代償金の性質があるのであれば、Dは相続税の申告と納税が必要です。一方で相続とは切り離される「生前贈与」であれば、Dがお金を受け取っていたとして相続税の申告と納税は不要です(贈与税の申告と納税が必要になります)。
謝礼を受け取った者が相続税の申告と納税が必要かどうかは、ケースバイケースで詳細な検討が必要です。「遺産分割協議書の記載が代償分割になっていない」「謝礼の出所が被相続人の遺産ではない」「謝礼を払ったのが相続人ではない(Bが謝礼を払うのではなく、相続人ではないCが払う)」という形であれば、Dが受け取ったお金は相続税の対象ではなく贈与税の対象になる可能性が高いと思われます。
※これはあくまで私見であり、その他の事情を鑑みて「相続税の対象になる」となる場面も当然考えられます。
このように、相続税の処理は深い検討が必要です。相続税の申告を依頼する場合は、相続税申告を得意とする税理士に依頼することをおすすめします。札幌で相続税申告のご相談・ご依頼は、札幌相続相談所までお気軽にお問い合わせください。




