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父が亡くなった後すぐに母が死亡のケース
当税理士事務所には、札幌のみならず札幌近郊から多くのご相談者がお見えになります。そのご相談者のなかには、「相続が連続して起こった」というケースがあります。たとえば札幌市清田区のCさんのケースは次のとおりです。令和8年7月に、札幌市清田区のAさんが死亡しました。Aさんの相続人は清田区で同居していた配偶者であるBとAB間の子であるCの二人です。BさんはAさん死亡当初はまだ元気でしたが、葬儀が終わり、時間が経った頃に体調を崩し、令和8年10月に死亡しました。亡くなる前日まで元気に過ごしていたBさんは、まさに急死でした。
このようなケースがあるのかと思われた方もいるでしょう。しかし札幌で相続の専門事務所を運営していると、このようなケースはまったく珍しくありません。相続税専門の税理士としては、体感的に一年のうち2件くらいはこのようなご相談がございます。
相続税申告の必要性
札幌市清田区のCさんのケースで難しいのは、相続税申告が必要か否かの判断です。Cさんのケースで、Cさんのお父さんであるAさんとお母さんであるBさんの遺産が次の状況であるなら、相続税申告の必要はあるでしょうか。
Aさんの遺産→札幌市清田区の自宅不動産(評価額2000万円)、預金(評価額2800万円)
Bさんの遺産→預金(評価額2000万円)
Bさんの遺産→預金(評価額2000万円)
Aさんの相続については、相続人は2人ですので、基礎控除は4200万円です。
一方で、Bさんの相続については、相続人は1人ですので、基礎控除は3600万円です。
Aさんの相続については、相続財産の評価額が相続税の基礎控除を明らかに上回っているため、相続税申告が必要です。
一方でBさんの相続については、一見すると基礎控除を上回っていないことから、相続税申告の必要性があるかどうかが問題となるのです。
一次相続の遺産分割協議が未了の場合
札幌市清田区のAさんとBさんのケースでは、Aさんが亡くなって間もなくBさんが亡くなりました。相続開始のタイミングにさほどの時間的な間隔がなく、一次相続と二次相続が連続して起こってしまったケースといえるでしょう。このようなケースであれば、Aさんの相続について相続人の間で遺産分割協議が成立していないことも珍しくありません。Aさんの葬儀が終わり、バタバタしていてこれから相続について進めようと思っていた矢先にBさんが死亡したという状況です。Aさんの遺産について、その帰属先を決める遺産分割協議を行っていなかったというのは、致し方ありません。
Aさんの相続について遺産分割協議が成立する前にBさんが死亡したケースでは、AとBの相続人はC一人ですので、遺産分割「協議」をすることができません。協議というからには話し合いが基本であり、話し合いというためには人間が複数名いなければならないからです。
※AとBの子がC以外に存在していたら、AとBの死後も遺産分割協議ができることになります。
結局Bさんの相続については、Bさんの遺産はもともとBさんが持っていた預金2000万円に、Aさんから相続した財産として、「Aさんの遺産×法定相続分」を加えることになります。つまりBさんはAさんから2400万円(4800万円×法定相続分2分の1)を相続したとして、Bさんの相続財産は合計で4400万円(2000万円+2400万円)となります。
相続財産の額が4400万円であれば、基礎控除3600万円も上回っていることから、相続税の申告と納税が必要になります。
一次相続の遺産分割協議が完了していた場合
札幌市清田区のBさんのケースでは、Bさんはまさに急死であって、死亡の前日まで元気に生活していました。となるとBさんはAさんの相続について亡くなる前日までは自らの判断で、子供であるCとの間で遺産分割協議を行うことは可能です。事実、立て続けになくなった相続であっても、一次相続についての遺産分割協議を終わらせているケースもあります。遺産分割協議が終わっているということは、その協議の結果、一次相続の遺産の行先は確定しているということです。民法の規定によると、遺産分割の効力は相続開始のタイミングに遡るため、一次相続の相続開始時に遡って遺産が各相続人に帰属するのです。
清田区のAさんのケースにおいて、BとCは話し合いを行い、Aの相続財産のすべてをCさんが取得するということにまとまりました。そしてその協議の後、Bさんは死亡しました
上記の通りであれば、Bさんは何らAさんの財産を取得していないのです。したがって、Aさんの財産はBに承継されていないと言え、Bさんの財産はもともと持っていた預金2000万円のみです。
Bさんの相続における相続税法上の基礎控除は3600万円ですから、Bさんの相続については相続税申告の必要はありません。
相続登記の処理は、相続税の処理と異なる
札幌市中央区の当税理士事務所は、税理士と司法書士のダブルライセンス事務所です。相続税の問題を処理するだけでなく、相続登記などの処理も行うことが可能です。清田区のAさんのようなケースで難しいのは、BさんとCさんがBさん存命のうちに遺産分割協議書を作成していた場合でなければ、登記の処理は、一度はBさんの名義が入ってしまうことになる点です。
具体的には、Aさんが死亡したことによってAからBが2分の1、Cが2分の1として、法定相続通りの申請を行います。そしてBが死亡したことによって、Bの持分2分の1をCに移転します。結局、Bが一度名義人として登記簿に登場することから、Bが不動産の権利の一部を相続したように見えてしまうのです。
登記実務では、昔は上記のケースでもAからCに直接所有権移転登記を行うことができました。「遺産分割協議証明書」という書類を作成し、「Bの生前にBとCで話し合って、不動産はCが取得することになっていました」という書類を提出することで、AからCへの移転登記が受理されていたのです。
この処理は、登記実務上「一人でも遺産分割」と言われる処理で、以前は普通に行われていました。しかしながら、法務局の扱いが変更となり、「一人でも遺産分割」で処理することはできなくなりました。もちろんBの生前にAに関する遺産分割協議書を作成していたら話は別です。その遺産分割協議書とBの印鑑証明書原本があれば、Aから直接Cへの移転登記が可能です。
一方でBの死後に「遺産分割協議証明書」をCが一人で作り、AからCに直接移転登記を行うことはできないのです。
税務調査で指摘されることも
BとCとの間で遺産分割協議が成立していたのにも関わらず、遺産分割協議書を作成していなかった場合に、後日相続税申告で「Aの遺産はCがすべて取得した」という内容の相続税申告をした場合は注意が必要です。税務調査がもしあった場合に、調査官は必ず登記簿見てから調査に臨みます。調査において、「登記簿はBの名義が一部入っている」と指摘され、「Cが全財産を取得した」という内容は虚偽であるといわれる可能性が高いと言えます。
そのような場合は、実際に、BとCとの間でAの相続に関して遺産分割協議が終わっていたとしても、登記実務上はBの名義を一度は入れないといけないということを説明できなければなりません。つまりは登記実務における法務局の扱いと税務上行った処理が整合しないことを、理路整然と説明できなければならないのです。
このように、相続税は税法の知識のみでは対応できないことも多くあります。当税理士事務所の代表税理士は司法書士資格をも有する相続の専門家ですので、安心してご相談ください。




