交通事故のケース
札幌相続相談所に、次のようなご相談をいただいたことがあります。
札幌市清田区のAさんは、不慮の交通事故により、意識不明の重体になってしまいました。生死をさまよいましたが、事故の5日後、残念ながら帰らぬ人になってしまいました。
Aさんには子供Bがおり、Bが唯一の相続人です。Bは弁護士を通じ加害者に対して損害賠償請求を行い、逸失利益1億円と慰謝料3000万円の支払い請求を受けることができました。
Aの財産は札幌市清田区の自宅の土地建物1000万円と預貯金500万円のみでした。
Aさんには子供Bがおり、Bが唯一の相続人です。Bは弁護士を通じ加害者に対して損害賠償請求を行い、逸失利益1億円と慰謝料3000万円の支払い請求を受けることができました。
Aの財産は札幌市清田区の自宅の土地建物1000万円と預貯金500万円のみでした。
この事例において、損害賠償請求においてBが支払いを受けた1億円と3000万円についても相続財産となり、相続税が課税されるのでしょうか。1億円と3000万円が課税対象財産であればもともとAが持っていた自宅と預貯金の合計1500万円に1.3億円が上乗せされるわけであり、相続税申告の必要が生じ、なおかつ相当な相続税額の負担が求められることになります。一方で1.3億円が相続税法上の相続財産に該当しないとなると、Aの相続財産の規模は基礎控除3600万円を下回り、相続税の申告は不要になります。
損害賠償請求権が未収入金として確定している場合
損害賠償請求権の相続税法上の扱いについては、それぞれの状況によって取り扱いがことなります。たとえばAが即死や事故後数日で死亡したような場合でなければ、生前のうちに弁護士に依頼し、交渉や場合によっては裁判手続きによって損害賠償請求権が確定していることがあるでしょう。その損害賠償請求権が確定したものの、入金される前にAが死亡した、という状況であればその損害賠償請求権は「未収入金」として生前に確定した権利だといえますから、入金前の当該損害賠償請求権は相続財産を構成します。
国税庁のタックスアンサーにおいても、次のように記されています。
被相続人が損害賠償金を受け取ることが生存中に決まっていたが、受け取らないうちに死亡してしまった場合には、その損害賠償金を受け取る権利すなわち債権が相続財産となり、相続税の対象となります。
札幌市清田区のAさんのケースは?
Aさんのように、交通事故を原因として事故から日が経たないうちに死亡した場合は詳細な検討が必要です。ところで相続税法というのは民法という土台の上に成り立っている法律ですから、相続税法上の扱いを検討する際は、損害賠償請求権の民法上の法的性質についても理解しなければなりません。
Aさんのように不法行為によって、当該不法行為時から日が経たないうちに死亡したケースであれば、1.3億円の損害賠償請求権はいったん被相続人に帰属し、それが相続人に承継されるという考えがあります(民法上このように考える、ということです)。最高裁もこの見解を支持しており、被相続人のもとで発生した損害賠償請求権は相続人に承継されるものとなります。この考えによると、損害賠償請求権は相続財産ですから、相続税法上、損害賠償請求権は課税対象になるという帰結が「理屈上は」導かれます。
一方で損害賠償請求権は一身専属的な権利である、という見解もあります。この見解によると、そもそも損害賠償請求権は相続されないことから、相続税法上の課税対象の相続財産を構成しないことになります。
このように複数の見解があり、最高裁は前者の見解を採用しているものの、交通事故の加害者から遺族が損害賠償請求を受けた場合について、国税庁のタックスアンサーは次のように回答しています。
被害者が死亡したことに対して支払われる損害賠償金は相続税の対象とはなりません。
最高裁の考えから導かれる扱いとは異なるでしょうが、やはり政策的にこのような損害賠償金を課税対象にすることは望ましくないと考えられます。税法は理屈よりも政策でその扱いを決める場面があり、この場面もその一つだと理解すると分かりやすいかもしれません。
2660万円の節税に成功(?)
札幌市清田区のAさんの相続人であるBから相談を受けた当税理士事務所の税理士は、上記のように回答をしました。Bさんは損害賠償請求権も相続財産として課税されると考えていたことから、まさか「課税対にならないため、今回相続税はかからない」と言われ、大変に驚いていました。
仮に1.3億円が相続財産として課税されるとした場合、Bさんの相続税額は2660万円にもなります。結果、相続税を専門とする当税理士事務所に相談をしたことによって、2660万円の節税に成功した(?)とも言えます。
札幌近郊で相続税にお困りの方はお気軽にご相談ください。




