相続時精算課税制度にかかる令和5年度税制改正
相続時精算課税は、令和5年の税制改正で大きく変わりました。相続時精算課税の適用を受けている者が、特定贈与者から令和6年1月1日以降に受けた贈与については基礎控除(110万円)が適用され、基礎控除以下の贈与額であれば贈与税の申告が不要になったのでした。令和5年12月31日までであれば、相続時精算課税の適用を受けた者が特定贈与者から贈与を受けた場合は、たとえ1円であっても「基礎控除」はなく、贈与税の申告をする必要がありました。
2年目以降の贈与税の申告をしていないケース
札幌で相続税の相談に応じていると、次のようなケースがありました。
令和8年11月に札幌市西区のAさんが死亡し、相続人はAさんの子で、札幌市西区でAさんと同居していたBさん一人です。
BさんはAさんから令和3年に500万円の贈与を受けており、相続時精算課税制度の適用を受けたことで、その500万円について当時贈与税は発生しておりませんでした。
その後、Aさんは令和4年に300万円を、令和5年に200万円をBさんに贈与していましたが、Bさんは令和4年と令和5年の贈与について、贈与税の申告をしていませんでした。
BさんはAさんから令和3年に500万円の贈与を受けており、相続時精算課税制度の適用を受けたことで、その500万円について当時贈与税は発生しておりませんでした。
その後、Aさんは令和4年に300万円を、令和5年に200万円をBさんに贈与していましたが、Bさんは令和4年と令和5年の贈与について、贈与税の申告をしていませんでした。
なぜBさんが贈与税の申告と納税をしていなかったかというと、Bさんは次のように考えたためです。
しかしながら、札幌市西区のBさんの認識は誤りでした。相続時精算課税制度の適用を一度受けた者は、特定贈与者(Aさん)から受けた相続時精算課税制度の適用後の贈与については、仮に贈与の額の合計が2500万円以下になるとしても贈与税の申告が必要になるのです。
つまりBさんは管轄の札幌西税務署において、令和3年分のみならず、令和4年分と令和5年分の贈与の申告をしなければならなかったのです。その趣旨は、税務署に対して、相続時精算課税制度の特別控除の残額を伝える、ということです。令和4年と令和5年のそれぞれの分の申告をすることで、特別控除額の残額は1500万円なのだと税務署に知らせることが必要なのです。
期限後申告になると、特別控除は?
ここで問題になるのは、相続時精算課税制度を適用した者が行う、初年度より後の年度の特定贈与者からの贈与税の期限後申告の処理についてです。一般的な考えであれば、札幌市西区のBさんは令和4年分と令和5年分それぞれの贈与税をする際に、特別控除を適用し、2500万円の非課税枠の範囲内だから非課税という申告をすればよいと考えがちです。
しかし、特別控除の適用を受けるためには贈与税申告について「期限内」に申告する必要があります。期限後申告になった場合は、特別控除の適用を受けることができないのです。
特別控除の適用を受けることができないということは、一律20%の贈与税を支払う必要があります。そして贈与税の本税だけでなく、税額が生じるのですから、無申告加算税と延滞税をも支払う必要があることは言うまでもないでしょう。
相続税の処理はどうする
札幌市西区のAさんのケースでは、次の処理をすることになります。
問題なのは、相続税の税額から差し引くことができる贈与税額は、贈与税の本税(本体)だということです。無申告加算税と延滞税については、差し引くことはできませんので注意が必要です。
札幌で相続税の相談に応じていると、札幌市西区のAさんのように、生前贈与の処理が適切にできていないケースが多々見受けられます。相続税申告において、生前贈与の処理に不安がある方は、札幌の相続税専門の当税理士事務所にご相談ください。




